「力仕事や運転などを職業としている」
「体を動かす機会が少ない」、
「仕事や運動などで無理な姿勢を長時間保つ必要がある」
「骨粗鬆症など何らかの病気による」
「事故」など、腰痛の原因は生活環境や年齢により千差万別です。
それだけに腰の痛みにお悩みの方は非常に多いのですが、いざ受診する場合に
とりあえず痛み止めをもらうために内科?(女性であれば)婦人科?」
と、困ってしまうこともあるようです。
整形外科では、腰痛の原因の診断と治療を専門に行う「脊椎外科センター」を設置し、腰痛の原因の診断と治療に努めています。
当センターでは脊椎に関する専門外来『脊椎外来』を設けております。
腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・すべり症など脊椎全般の腰痛・下肢痛でお悩みの方は、まず、大森医師・米山医師・松繁医師の一般外来(こうかんクリニックで行っている整形外科一般外来)、もしくは脊椎外来(日本鋼管病院にて行っている専門外来)を受診して下さい。
いずれも初診予約は不要、直接ご来院下さい。
主な対象疾患 |
---|
腰痛・下肢の痛み、しびれ・歩行障害・頚部痛・上肢のしびれ 頚椎症性脊髄症・頚椎椎間板ヘルニア・頚椎後縦靭帯骨化症 腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症・変性すべり症 分離すべり症 等 |
受診時に、「神経学的診察」・「X線撮影」・「MRI検査」などを行い、正確な病態を把握します。
その結果を判断して「投薬・リハビリなどの保存療法」を行い、それらに効果が見られない場合や患者さんが希望された場合に手術療法の適応になります。
もっともデリケートな部分である脊椎・脊髄の手術・治療には、経験と専門性がとても重要となります。
担当の大森医師は全国でも数少ない「脊椎内視鏡下手術・技術認定医<3種経皮的手技>」の資格を有し、かつ年間約180例の脊椎手術を執刀する脊椎脊髄の専門家で、川崎市・横浜市はもとより東京都内・神奈川県内からも多くの患者さんが受診に訪れています。
当科は、従来の内視鏡下ヘルニア摘出術(MED手術)はもとより、全内視鏡下ヘルニア摘出術(FED手術)も施行している最先端の施設で、大森医師の脊椎内視鏡手術数は、国内でも上位に位置する症例数です。
手術に関しても、患者さんの身体的負担を一刻でも早く軽減できるよう、待機期間が3週間を超えないようにスケジュール調整に努めています。
「受診してから手術を受けるまでの期間」が短いことも大きな特色です。
脊椎や脊髄は人間の体の中で最もデリケートな部分のひとつであり、その診断・治療にあたる医師には専門性と豊富な経験が求められます。
椎間板ヘルニアなど、腰椎疾患の手術を行う場合、侵襲が少なく合併症・後遺症の危険性も低いものを選択したいものですが、その際の選択方法のひとつとして、医師の有する資格を基準に病院選びをされる方が多いようです。
脊椎整形外科を統括する大森一生医師は、全国でも数少ない「脊椎内視鏡下手術・技術認定医(3種経皮的手技)」の資格を有しています。
この資格は、
「日本整形外科学会認定整形外科専門医」の資格を取得 |
↓ |
「日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医」の資格を取得 |
↓ |
「日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄手術指導医」の資格を取得 |
という三段階の認定を得て初めて受験資格が生まれるもので、さらに実技試験を受け合格したのちに「脊椎内視鏡下手術・技術認定医脊椎脊髄病医」の資格を取得できますが、非常に厳しい認定基準をクリアしなければならないもので、3種の資格はさらに門戸が狭くなります。よってその資格を有する医師の技術は必然的に高いと言われており、いわば整形外科医の中でも脊椎脊髄に関するエキスパートと言えるでしょう。
従来より当センターで行っている、内視鏡下ヘルニア摘出術(MED手術) に加え、経皮的内視鏡下ヘルニア摘出術(PED手術)を行っております。
本手術法は、従来行われていた内視鏡下椎間板摘出術(MED手術)をさらに低侵襲にした手術で、内視鏡下に小さな鉗子・ラジオ波バイポーラ・ドリルを用いて、経皮的にヘルニアを摘出します。
PED手術は、現在行われている腰椎椎間板ヘルニア摘出手術において最小侵襲の手術です。
(MED手術の傷は16mmでしたが、本手術では傷は8mmです)
当科ではPED手術の施行件数が年々増加しております。
この手術を行っている病院は川崎・横浜地域はもとより、県内の範囲を超え、国内でも数える程しかありません。
PED手術には2つの方法があります。以下に解説します。
PED transforaminal (TF)法:経椎間孔法
TF法では手術は全身麻酔で行います。
内視鏡は腰の側方よりの椎間板に向かって挿入します。
(右写真)
その際に軽い痛みが出現することがあります。
痛みが出現すれば内視鏡を挿入する角度を変更しますので遠慮なくおっしゃてください。
TF法は、我々と患者さんが会話しながら行う手術です。
内視鏡に水を還流しながら手術を行いますので、無血視野の画像になります。
白く盛り上がっている部分が、飛び出したヘルニアです。
(写真2番目)
ヘルニアを小さな鉗子を用いて摘出します。
(写真3番目)
大きなヘルニアを一塊として摘出することが可能です。
(写真4番目)
手術時間 : 60~90分程度
手術後 : ドレーン(血抜きの管)は留置しないため
3~4時間で歩行を開始できます
退院 : 手術後2日
抜糸 : 外来で行います
当院では、TF法は3泊4日の手術となります
PED interlaminar (IL)法:経椎弓間法
IL法では手術は全身麻酔で行います。
全身麻酔ですので手術中は全く痛みはありません。
内視鏡は腰の後方より椎間板に向かって挿入します。
(右写真)
飛び出している部分がヘルニアです。
(写真2番目)
これを鉗子を用いて摘出します。
(写真3番目)
手術時間 : 60~120分程度
手術後 : ドレーンを留置しますので、
歩行は手術翌日の朝からになります
退院 : 2日での退院が可能です
抜糸 : 外来で行います
当院ではIL法は、3泊4日の手術となります
当院ではヘルニアの位置、タイプによりTF法、IL法を使い分けて行っています。
PED 手術は最小侵襲の腰椎椎間板ヘルニア摘出術ですので、仕事や学校などで忙しく、長期の休みがとれない方には最適の手術です。
PED手術は保険が適用される手術です。
腰椎椎間板ヘルニアによる腰痛・下肢痛でお困りの方は是非ご相談下さい。
高齢化が進むと、骨粗鬆症などで骨がもろくなるリスクが増大します。
骨粗鬆症の患者さんは、骨がもろくなっているためちょっとした転倒やしりもちでも脊椎の圧迫骨折(腰の骨が潰れるような骨折)をしてしまうケースは珍しくなく、背中や腰に強い痛みが生じます。
これまで圧迫骨折を生じた患者さんの治療法は、肉体的負担の大きい大がかりな手術をするか、「安静臥床」・「コルセットによる固定」・「薬の内服」などにより痛みを和らげることが主流でした。しかし痛みが軽快しなかったり、高齢者になると長い期間寝たきりになることにより、足腰が弱って歩けなくなったり、肺炎や認知症の症状が出現するといったことが問題となっていました。
当センターでは骨粗鬆症や転倒などによる背骨(脊椎)の圧迫骨折で背中や腰に強い痛みがある患者さんを対象に、肉体的負担や疼痛を改善できるバルーンによるセメント療法(BKP)を行っています。
この療法は、緩和だけでなく根本から痛みを取り去る治療です。また潰れた背骨の形を整えることも可能です。
治療後の安静期間を必要としないため(手術翌日より歩行できます)、上記のような問題に陥らず日常生活の改善も期待できます。
全身麻酔を行い、うつ伏せの姿勢でレントゲンを見ながら骨折した背骨(脊椎)に針を刺し、上図のようにバルーン(風船)を入れて膨らませることにより、潰れた脊椎の形を整えます。
その後に、管を通して医療用の「骨セメント」と呼ばれる骨の接着剤を注入し、補強固定して痛みをとります。
針を刺して行う治療ですので、皮膚をほとんど切る必要はなく手術時間も20~30分程度です。
圧迫骨折由来の痛みに関しては、ほぼ確実に消失します。
骨セメントは20~30分ほどで固まるので、手術の翌日から歩行することができます。
~ 骨セメント治療適用の代表例 ~ 転落による第12胸椎圧迫骨折の治癒不全(偽関節)による腰背痛 |
||
---|---|---|
写真1:手術前 第12胸椎内部は偽関節となり空洞化しています |
写真2:術後 正面から撮影したレントゲン写真画像 |
写真3:術後 側面から撮影したレントゲン画像 白く見える部分が骨折した部位に注入した骨セメントです |
![]() |
![]() |
![]() |
手術の翌日から歩行を開始し、痛みは消失しました。 |
「骨粗鬆症による圧迫骨折にために痛みがある」「圧迫骨折が治癒していない場合(偽関節)」といった症状の方の治療に有効ですが、『以前に圧迫骨折しているが痛みがないもの(症状のないもの)』は治療の適応となりません。
入院期間は術前検査を含めて10日~2週間程度で(圧迫骨折の症状により個人差があります)、保険を適応できます。
当院は全国でも数すくないBKPのトレーニング施設に認定されております。
手術は全身麻酔で行います。手術時間は1時間半程度、
術当日もしくは翌日からの歩行が可能で、3泊4日の入院になります。
術後、頚椎の装具は使用しておりません。
下写真の矢印に示した部分が内視鏡で骨を削った所です。
![]() |
![]() |
本手術により個人差がありますが、症状の6-8割が改善することが
期待できます。
もちろん保険診療が可能であり、
PED手術の経験が豊富な脊椎外科医が執刀します。
頚椎疾患による頑固な頚部痛、肩甲部痛、上肢痛でお悩みの方は
是非、ご相談ください。
1 月 | 2 月 | 3 月 | 4 月 | 5 月 | 6 月 | |
---|---|---|---|---|---|---|
脊椎手術 <合計> | 84 | 73 | 81 | 65 | 49 | 75 |
経皮的内視鏡下椎間板摘出術(PED) | 46 | 44 | 39 | 43 | 17 | 46 |
内視鏡下椎弓切除術(MEL) | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
低侵襲脊椎固定術(MISt) | 10 | 7 | 14 | 6 | 7 | 10 |
経皮的椎体形成術(BKP) | 13 | 5 | 8 | 3 | 13 | 9 |
その他 ※ | 15 | 17 | 19 | 13 | 12 | 10 |
7 月 | 8 月 | 9 月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
脊椎手術 <合計> | 78 | 72 | 66 | 74 | 72 | 82 | 871 |
PED | 46 | 45 | 35 | 45 | 34 | 47 | 487 |
MEL | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 3 |
MISt | 6 | 9 | 7 | 7 | 12 | 7 | 102 |
BKP | 4 | 5 | 8 | 5 | 10 | 10 | 93 |
その他 ※ | 22 | 13 | 16 | 16 | 15 | 18 | 186 |
※ その他:脊椎固定術、頚椎椎弓形成術、頚椎前方固定術 |
2013 年度 |
2014 年度 |
2015 年度 |
2016 年度 |
2017 年度 |
2018 年度 |
2019 年度 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
脊椎手術 <合計> | 476 | 511 | 522 | 646 | 813 | 909 | 969 |
経皮的内視鏡下椎間板摘出術(PED) | 169 | 181 | 236 | 271 | 390 | 436 | 467 |
内視鏡下椎間板摘出術(MED) | 19 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
内視鏡下椎弓切除術(MEL) | 95 | 112 | 63 | 41 | 42 | 38 | 15 |
低侵襲脊椎固定術(MISt) | 71 | 97 | 105 | 139 | 139 | 144 | 132 |
経皮的椎体形成術(BKP) | 38 | 31 | 28 | 81 | 122 | 125 | 130 |
その他 ※ | 84 | 86 | 89 | 114 | 120 | 166 | 225 |
|
大森 一生副院長 脊椎外科センター長 【 専門分野 】
脊椎脊髄外科、 【 資 格 】
|
---|
大森医師の外来 | ||
---|---|---|
整形外科(一般)外来 | 脊椎外科(専門)外来 | |
診察場所 (受付) | こうかんクリニック | 日本鋼管病院 |
クリニック1階整形外科受付 | 病院1階外来棟脊椎整形外科受付 | |
診療曜日 | 月曜日 | 火・水曜日 |
初診受付時間 | 8:25~11:00 | 8:30~10:30 |
![]() |
米山 励子【 専門分野 】脊椎脊髄外科 【 資 格 】
|
---|
|
松繁 治【 専門分野 】脊椎脊髄外科 【 資 格 】
|
---|
開催日 | 演 題 | 主 催 | 演 者 |
---|---|---|---|
2013.2.8. | Percutaneous pedicle screwを用いた 低侵襲脊椎固定術 | 第7回 川崎脊椎脊髄連携集会 | 大森 一生 |
2013.6.18. | 低侵襲脊椎手術の最前線 除圧から固定まで | 第39回東海道画像診断懇話会 | 大森 一生 |
2013.7.19. | 腰下肢痛を起こす病気とその治療 | 第4回日本鋼管病院 柔道整復懇話会 | 小野孝一郎 |
2013.9.23. | VIPER MISコース | デピューシンセススパイン MITプロダクトトレーニング | 大森 一生 |
2013.12.21. | 脊椎外科センターにおける2013年の治療実績 | 第4回こうかんシンポジウム | 石川 紘司 |
開催日 | 演 題 | 開 催 | 演 者 |
---|---|---|---|
2013.11.21. ~ 22. (神戸市) | PED Interlaminar法導入後の手技別ラーニングカーブに関する検討 | 第16回 日本内視鏡 低侵襲脊椎外科学会 | 大森 一生・小野 孝一郎 吉原 潔 |
腰椎外側ヘルニアに対する脊椎内視鏡手術 ~ MED法とPED法の比較 ~ | 大森 一生・小野孝一郎 石川紘司 | ||
低侵襲経椎間孔椎体間固定術の固定範囲増加に伴う侵襲の変化 | 小野孝一郎・大森一生 石川紘司 | ||
腰部脊柱管狭窄症に対する内視鏡下椎弓切除術の治療成績 | 小野孝一郎・大森一生 石川紘司 | ||
巨大腸腰筋膿瘍を合併した化膿性椎体椎間板炎に対する 低侵襲外科的アプローチ | 石川紘司・大森一生 小野孝一郎・栗山節郎 稲垣克記 | ||
2013.11.3. (東京都) | 腰椎椎間板ヘルニアに対するPED法の臨床成績と問題点 ~ アプローチ別の検討 ~ | 第19回 日本最小侵襲整形外科学会 | 大森一生・小野孝一郎 石川絋司 |
2013.10.12. (横浜市) | 腰椎椎間孔外ヘルニアに対する脊椎内視鏡手術 ~ MED法とPED法の比較 ~ | 第149回 神奈川整形災害外科研究会 | 大森一生・小野孝一郎 石川絋司 |
腰椎椎間板症に対する経皮的内視鏡下椎間板摘出術の治療成績 |
小野孝一郎・大森一生 石川紘司 |
||
巨大腸腰筋膿瘍を伴った化膿性椎体椎間板炎に対する 低侵襲アプローチ |
石川紘司・大森一生 小野孝一郎・栗山節郎 稲垣克記 |
||
2013.9.6. (名古屋市) |
再発腰椎椎間板ヘルニアに対するPED Interlaminar法 |
第20回 日本脊椎・脊髄手術手技学会 |
大森一生・小野孝一郎 |
MIS-TLIFは高齢者にも安全に行うことができる ~ 高齢者と若年者の比較 ~ |
小野孝一郎・大森一生 | ||
2013.6.20. (札幌市) |
脊椎内視鏡技術認定医によるPED法導入 初期30例の術後成績と問題点 |
第5回 日本スポーツ・膝・関節鏡学会 |
大森 一生・吉原潔 小野孝一郎・服部麻倫 栗山節郎 |
内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術後に再手術にいたる 危険因子に関する検討 |
小野孝一郎・大森一生 服部麻倫・栗山節郎 |
||
2013.6.1. (横浜市) |
再発腰椎椎間板ヘルニアに対するPED Interlaminar法の有用性 |
第148回 神奈川整形災害外科研究会 |
大森一生・小野孝一郎 |
2013.4.25. ~ 26. (宜野湾市) |
腰椎椎間孔外ヘルニアに対する脊椎内視鏡手術 MED法か、PED法か? |
第42回 日本脊椎脊髄病学会 |
大森一生・小野孝一郎 栗山節郎 |
腰椎変性すべり症に対するMIS-TLIFの術後成績 ~ すべりの動態の観点から ~ |
大森一生・小野孝一郎 栗山節郎 |
||
MIS-TLIFは高齢者にも安全に行うことができる ~ 高齢者と若年者の比較 ~ |
小野孝一郎・大森一生 栗山節郎 |
||
2013.3.9. (横浜市) |
腰椎椎間板ヘルニアに対するPED法導入 初期症例の術後成績と問題点 |
第147回 神奈川整形災害外科研究会 |
大森一生・小野孝一郎 星忠成・栗山節郎 |
腰部脊柱管狭窄症に伴う黄色靭帯石灰化の局在と臨床的特徴 |
小野孝一郎・大森一生 星忠成・栗山節郎 |
||
頭部外傷から長期経過後の頚髄症を発症した環軸関節亜脱臼の1例 |
星忠成・小野孝一郎 大森一生・栗山節郎 |
||
2013.1.12. (東京都) |
第4腰椎変性すべり症に対するMIS-TLIF,PPS術後、短期間で隣接椎間障害を生じ再固定術を要した1例 | 関東MISt研究会 | 大森一生・小野孝一郎 |